神田四季報

個別の銘柄・株価分析。バリュー投資の教えのまとめ。

フィッシャーの「超」成長株投資の書評

 

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成長株をポートフォリオに組み込みたい人には必読の1冊で、バフェット氏にグロース投資(成長株)の考え方や影響を与えたということを十分に納得できる内容。

新興企業や中長期的に大きく成長する見込みのある優良企業の見つけ方や理論、考え方について、参考になりました。

 

著書:フィリップ・A. フィッシャー 

 

主な内容:アメリカの大投資家バフェットの師であり、その投資法に多大なる影響を与えたフィリップ・A・フィッシャーが1958年に書き下ろし、以来読み継がれてきた名著の中の名著『Common Stocks And Uncommon Profits』の翻訳版。※Amazonより

 

特筆すべき点:フィッシャーの投資判断「15の質問」

フィッシャーの経験から、この質問項目に当てはまる企業は優良な成長企業である可能性が高い。

※Wikiに掲載されています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC

■ 本を読んで参考になった個所

・ひとつの幹から何本も枝を伸ばした木が何本も集まっているような企業の方が、次々と脈略無く関連の見えない新製品を開発している企業よりも、はるかに良い業績を上げるものなのだということです。

成長が鈍化した企業にありがちですね。投資先が関連性のない多角化をしだしたら危険・売りを検討すべきです。

 

・長期にわたり着実に成長を遂げていくには、強い営業力が必要になるのです。

強力な営業部隊でなりたっている会社の代表格の光通信を思い出しました。確かに今でも会社が残っています。

 

企業が成長するためには、間違いなく研究開発が重要だと思います。しかし、画期的な商品を作り出すことができて、一時的な利益を上げたとしても継続して作り出すことや長期的な繁栄をもたらせるような超ヒット商品はなかなか出ません。

世の中に出回って、一巡したら売れなくなるものよりも、継続して買ってもらえるものを販売している企業がやっぱり強いですよね。

 

・投資家が基本的に重視しなくてはならないのは、過去の利益率ではなく将来の利益率だということになります。

・売上1ドルあたりで何セントの営業利益が出ているのかを見るのです。

・経費を減らして利益率を高めるための新しいアイデアに基づいて、その企業がどれだけ巧みに経営改革を進めているかに注目すべきです。

・安いというだけで企業の株を買うのではなく、大きな利益を約束してくれる場合にのみ株を買う

 

フィッシャーは、利益・利益率についての考えを何度も書籍内で言及しています。

利益率が高ければ、良い商品・サービスを提供している会社の可能性が高く、倒産する確率も低く、成長する可能性が高いと思います。

 

・その企業の賃金体系に注目するとよいでしょう。

企業の賃金体系について、触れている本は初めて見ました。

類似企業と比較して、在籍年数が長かったり賃金が高いにも関わらず好業績を上げている企業は、労使関係が良く優秀な人材の流出も少ない可能性が高いと思います。

 

・超優良企業の場合、現金と借り入れ余力の合計が、今後数年間の成長に必要な資金をまかなうに十分であるか

資金調達力に問題なければよいが、問題がある企業の場合は保有株の希薄化や財政悪化の可能性があるので、注意が必要。

 

・ほんとうの成長株であれば、安定成長に入った企業よりも、収益力を急激に伸ばしている企業の株の方が高い株価収益率で取引されるものですし、またそうなるのが当然です。

ピーターリンチの書籍でも書いていましたが、頭ごなしに見かけのPERだけで判断してはいけない。毎年2倍成長する企業であればPER20倍なんてお得でしょ?

 

・最近のマニュアル・レポートの多くは株主に好感を与えようとしてつくられていることを忘れてはいけません。

IR情報については、良い企業だと思われたい側が書いているので、書かれた言葉を鵜呑みにしてはいけない。定量的な数字や自分ならではの分析から真実を見極めることが大事。

 

・多くの投資家は、ある株を買うべきかどうか決める際に過去5年間の1株当たりの利益を重視します。これもまた、過去の株価を気にするのと同じように良くみられる誤りです。

過去の実績が良かったから、これからも同じような利益を上げられる訳ではない。大事なのは、今後の企業があげるであろう収益。