神田四季報

個別の銘柄・株価分析。バリュー投資の教えのまとめ。

モバイルクリエイト【3699】 購入の見送り

モバイルクリエイトは、ドコモのMVNOネットワーク・IIJを活用して、アナログ無線に代わってIP無線(ボイスパケットトランシーバー(機器)、IP無線ネットワーク網、配車システム(ASPサービス))をまとめて運送業者へ導入・提案できる企業です。

2014年中にアナログ無線(NEXNET/JSMR)の廃止に伴って、タクシーやトラックは、デジタル無線か携帯の通信網を活用したIP無線を導入するかになります。機器の製造は行っておらず外部へ委託。月額の通信料・ASPサービスの利用料を重ねていくビジネスモデルです。

成長のチャンスは、アナログ無線が終了する2014年末

月額の料金はデジタル無線よりも安くサービスもデジタル無線より優れている面もあると思います。しかし、買換えのピーク迄への売上台数の推移を考えると2014年6月ごろまでは売上・利益の増加は良いかもしれませんが、以降の成長の伸びは鈍化していく可能性が高いと思います。

販売代理店ネットワーク経由で、70%の導入車両数となっており、営業人員を置くコストが低くなっている仕組みは評価。

PERは14年の買換えピークを織り込み済み

現在のPERは約25倍。翌年はPER20倍ぐらいの予想

12.5が純利益183百万円でEPS46.4

13.5四季報予想の純利益が290百万でEPS55.5。
⇒導入車両台数と売上の推移がリンクして昨対比80%台で推移していて大きなブレは無いと思います。

14.5四季報予想の営業利益360百万円でEPS68.9。
⇒14年の前半が買換えピークだと思われます。昨年(13.5)の倍程度の導入車両数で達成できるので、駆け込み需要も勘案すると見込みはあると思います。

ネガティブに思ったこと。

※競合のソフトバンクが今年(2012.2)参入。MCA無線の置き換え器を発表。SBの資金で、無償で交換してくれます。
⇒製造元の西菱電機製は株価上昇中

※タクシー業界はすでにデジタル無線を半分導入済み
⇒デジタル無線機器大手の富士通テンの発表より

最後のまとめ

モバイルクリエイトの長期的な成長見込みでは、無線を搭載していないトラックなどを見込んでいるようですが、今困っていないのに導入するのはわずかだと思いします。小さい個人商店などへの電子決済の導入が成長戦略に書かれていましたが、店舗に導入済みのインターネット回線を使えば、導入できるので、新たに受け入れてもらえる可能性は低い。

月額ASP利用料や通信料がビジネスの肝となるストック型ですが、1年後の導入台数は倍に増えて売上は年間で9.3億円と試算しました。売上・収益へ貢献度は約30%ぐらいにあがると思います。

しかし、買換え特需が過ぎたあとに、どうやって導入台数を増やしていくのか?月額の利用料を増やしていくのか?は、懸念課題として残り、長期的な大幅成長が見込めないと判断して、今回はモバイルクリエイト株の購入を見送ります。