リスマ・ファンド・マネージャーの投資極意の感想
カリスマ・ファンド・マネージャーの投資極意
著作:アンソニー・ボルトン、ジョナサン・デービス
翻訳:フィデリティ退職投資教育研究所
出版社: 東洋経済新報社 1,785円
ピーター・リンチ推薦
「本書は、投資を成功させる最も大切な秘密を明らかにしている」
アンソニー・ボルトンについて
ケンブリッジ大学工学部卒業。1979年、29歳でフィデリティのロンドン拠点初のファンド・マネージャーとなる。ボルトンが手がけたフィデリティ・スペシャル・シチュエーション・ファンドは四半世紀以上にわたり年率換算20%超の運用成績を記録。
※Amazonより転載
本を読んだ感想
割安株の見つけ方ではなく、購入する際の判断方法が書かれており、企業を判断するうえで気を付ける点、投資のアイディアなどは参考になりました。また、ファンドマネージャーとしての活動の振り返りや引退時の葛藤も読み物として面白いです。
著者が在籍したフィデリティという資産運用会社の優れた組織について魅力を感じる1冊で、思わず欧州株の投資信託を検討したいと思ってしまいました。
割安株1~2年保有し売買を繰り返す
投資スタイルは幅広い分析を行い、割安株を見つけ短期間サイクル。
銘柄選択について、チャートを活用する珍しいタイプで、多くの情報から判断するのが特徴だと思います。
ボルトン氏に卓越した選択能力がもちろんあると思いますが、フィデリティのアナリストチームなど組織力による下支えを同時に感じました。
心に残った個所
広範囲にわたる株価評価基準
(コメント)毎回、すべてを使うわけではないそうですが、組み合わせたり、他の分析方法を取り入れたりするようです。
・株価収益率(PER)
・企業価値グロス・キャッシュフロー比率
・フリーキャッシュフロー比率
・投下資本キャッシュフロー比率
・相対比較
(国、地域、世界ベースで業界比較)
・貸借対照表が脆弱であるか?
※市況が悪い時、不景気時に売られやすい。
・株主の状況
所有権、経営権の変化
・経営陣が自社株を売買しているのか?
・テクニカル・アナリストの意見
・機関投資家の株主比率
・評価している主要証券アナリストが誰なのか?
・将来、興味が引かれる材料があるか?
チャートの利用
チャートが何らかの価値があるのは、売り手側のメリットと買い手側のメリットのバランスを理解する重要な示唆を与えてくれるからであるとボルトンは言います。
チャートは他の投資家が残した足跡なのです。
(コメント)具体的なチャートの読み方については書かれていません。残念です。
銘柄選択について
※一部抜粋
①事業分野と質を理解する。
バフェット同様にキャッシュフロー継続的に生み出し、優位なビジネスモデルを有している事業。
②ビジネスの変動要素を理解する
企業がコントロールできない為替、金利、税制などを見極めることで、株価を動かす要素を知ることができる。
理想的なビジネスは、自信の運命をほとんど自身でコントロールできるビジネス
③危険を伴う経営者を絶対避ける
不誠実、法律や道徳違反すれすれのきわどいことをする企業には近づかない。
④群衆の2手先を考え、試してみる
⑤貸借対照表上のリスクを理解する
ストックピッカーへの教訓のリストの上位に入れるべき。
いろんな形での負債同様、年金会計の赤字や転換の可能性がほとんどない償還期限付き転換優先株などを分析できることも必要です。
⑥定期的な見直し
いつでも自分が持っている銘柄をなぜ持っているのか、その理由を数行にまとめられるようにするべきです。
⑦購入価格を忘れる
購入価格にはまったく意味がなく、ただ感情的に重要なだけです、状況が変化した時、損切りすることに、ためらいは無用です。
⑧株価が好調な時の注意
絶対バリュエーションを確認することが役に立ちます。
相対評価に囚われると道を失います。