神田四季報

個別の銘柄・株価分析。バリュー投資の教えのまとめ。

デリカフーズの決算予測 2013年4月

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デリカフーズの決算が近いので、会社をさらに深く知るために決算のシュミレーションを出してみました。その結果、私の予測では四半期純利益が379百万円で、会社の通期予想が378百万円だったので、ほぼ同じという結果予想です。

株価(2013年04月30日):506円
株数:6,242,000枚
※以下は私の予想です。
売上予想:24,353百万円
営業利益予想:680百万円
予想四半期純利益:379,545,409円
予想EPS:60.80
予想PER:8.32

今回の算出方法ですが数字ばかりなので、興味が無い方は読み飛ばしたほうがいいかと思います。
この算出のロジックが絶対に正しいと言うことはありませんし、誤っている可能性も有ると思います。あくまでも企業の実績を予想するアプローチ方法の1つだったり、どうやって投資判断をしているのか?の参考になればと思っています。(。´・ω・)。

私が自分の備忘録と決算発表の数字と差を見てロジックが正解だったのか?決算数字で、妙な点が無いかを確認する意味もあります。投資の責任は各自でお願いします。

以下は、上記の通期予想の算出した流れになっています。

①四半期ごとの数字を算出

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まず、各四半期毎の決算短信から四半期ごとの売上、営業利益、経常利益、四半期純利益を分解しています。通期で足されている数字だと、その期がよかったのか?それとも前の期がよかったのか?などが分かりません。可能性は低いですが、第1四半期と第2四半期は信じられないほど業績好調だったから安心していた企業だったのに、実は第3四半期の業績が急激に悪化していて、最終的には通期予想を下回る可能性もあるからです。

また、デリカフーズの場合は、主要顧客が外食産業と言う景気に左右される業種という点や野菜の卸販売なので、季節毎に売上などが大幅に変動しているのかを知りたいと思ったのも算出した理由の1つです。

注目すべき点は第3四半期の営業利益が大幅に落ち込んでいます。どうして落ち込んだのかを分析しないと、第4四半期の数字とのブレ幅が大きくでると思います。もし、分析して本当に危ない兆候だった場合は売ればいいし、一過性という判断結果ならホールドすればよいという判断になります。

そこで、第3四半期の決算書を読むと下記のコメントがありました。

利益につきましては、当社グループ全社で取り組んでいる生産性向上及び物流費削減等のコスト削減の成果は着実に表れてきているものの、11月後半以降の急激な気温の低下による野菜の生育状況の悪化により、野菜の調達価格が高騰し、第3四半期の業績に影響を与えました。
平成25年3月期 第3四半期決算短信
http://www.delica.co.jp/ir/

なるほど、野菜の値段が営業利益に影響を与えているようです。

②営業利益率の推移を算出

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※最後の期については予測を入れています。

デリカフーズは野菜を仕入れて販売する会社なので、商品のサイクルは早いはずです。本当に野菜の値段が原因で推移しているのか?季節的な要素はないのか?を知るための手掛かりとして、算出しています。

営業利益率の平均は2.3%です。グラフを見ると各四半期は数%の違いですが、2%が3%になっただけで営業利益が1.5倍になるので、大きな差になってきます。営業利益率が上がった次の期は下がるという感じになってみえますが、季節ごとの影響はないと思います。

③レタスの価格推移を算出

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東京都中央卸売市場の統計数字から、その年のレタス・葉野菜の平均値を算出して、月毎の変化をグラフにしています。

外食産業で使われる消費量が多く、天候の影響を受けて価格の暴騰を起こしやすい野菜がレタスです。そのため、レタスの価格の変化がデリカフーズに影響を与えている可能性が高いと思い、レタスの価格の推移を算出しています。

見てわかるようにデリカフーズ第3四半期の利益率が低下した10月から12月についてはレタスの価格が大幅に上昇したのが分かると思います。それまでは、割と安定的に推移していたので、利益率が第1四半期:2.79%、第2四半期:3.50%、第3四半期:1.94%になったのもうなずけます。

④レタスの価格と営業利益の関係

さらに一歩進んで、デリカフーズが取引先と野菜の値段をどうやって決めるのか?を考えると最近の卸値の傾向と例年の価格で話をするのが普通だと思います。「買った値段に○%をかけて売ればいいでしょ?」と思うかもしれませんが、それだと取引先の外食産業の方々が想定している仕入れ値を大幅に超えてしまう可能性があり、仕入れてもらえません。

かといって取引先も大量の野菜を他から確保して、配達してもらうのを変更することは大変なので、折衷案として、デリカフーズは利益を削って、取引先も多少の仕入れ値上昇を納得してもらうしかないと思います。

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※最後の期の営業利益率は予測を入れています。

そして考えたのが、レタス類・葉野菜の1年前の価格と増減値を算出し営業利益を比較することです。1年前のレタス類・葉野菜の値段が想定しているよりも仕入れ価格が安かったら、デリカフーズの利益率が上昇。逆に昨年より大幅に仕入価格が高くなった場合は、利益を削ることになるので、営業利益率が落ちると考えました。

グラフの通り、多少の増減はありますが相関関係があるように見えます。そして、第4四半期のレタスの価格増減率(赤丸の箇所)を見ると、87.2%と昨年よりも下回っており、営業利益率が改善される可能性を示していると思います。

⑤第4四半期の売上と利益予想

第4四半期単独がどうなのかを算出してみました。

・売上高
6,056(百万円)
直近2Qの前年からの伸びと昨年の4Qの数字をかけています。

・営業利益
176(百万円)
利益率2.9%
※④のレタスと営業利益率との相関から推測値を入れています。
※強気ではない値を入れています。

・経常利益
142(百万円)
平成25年1月15日に新工場の設立費用として約35百万円を第4四半期に計上予定なので、引いています。

・四半期純利益
84(百万円)
前期と今期の平均値から算出

  • 参考資料

4.今後の見通し
当該新工場の建設に伴い、平成25年3月期第4四半期会計期間において、準備費用及びコンサルタント費用を約35百万円計上する予定です。 なお、当該新工場の建設による平成25年3月期の業績予想(連結・個別)の修正はありません。
http://www.delica.co.jp/data/20130115.pdf

最後に気になる点

第3四半期の売上の減少が葉野菜の高騰により、仕入を控えられたことが原因だったらよいのですが、取引先の減少などの場合は、第4四半期の売上も減少する可能性があるので、要注意です。

決算は来週発表の予定だと思うので、改めて発表された数字を見て確認したいと思います。あとは、東京デリカフーズ㈱ 第2FSセンター(新工場)の完成は平成25年7月なので、来季の売上をどこまで上昇させられるのかも決算の見どころになると思います。

参考資料
青果物卸売市場調査
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/seika_orosi/index.html
ベジ探 卸売市場別入荷量・価格
http://vegetan.alic.go.jp/sch7.do
東京都中央卸売市場-統計情報検索
http://www.shijou-tokei.metro.tokyo.jp/asp2/smenu2.aspx?page=1&mode=1&smode=10
モスバーガー 月の店舗稼働実績
http://www.mos.co.jp/company/ir/library/monthly_info/
データからみる外食産業 日本フードサービス協会
※モス、スカイラークも加入
http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html
外食産業における国産野菜の使用の現状と今後の展望
http://www.maff.go.jp/kanto/nouson/shigen/lets_nougyou/pdf/vol21.pdf

業務用が相場を作る野菜類、レタス、キャベツ、ハクサイ、ダイコン
http://agri-biz.jp/item/detail/8560?item_type=1

平成25年1月15日

当社連結子会社 新工場建設に関するお知らせ
http://www.delica.co.jp/data/20130115.pdf